遺産分割調停・審判の流れ

最終更新日:2024年04月22日

1 遺産分割調停・審判が必要になる場合

 相続人間で遺産分割協議ができなかった場合、裁判手続きによって、遺産分割を成立させる方法があります

 遺産分割協議ができない場合として、遺産分割協議をしたものの内容についての合意が得られなかったという場合や、そもそも連絡がつかず、遺産分割協議ができなかったという場合などがあります。

 そのような場合は、まずは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる必要がります。

 調停とは、裁判所において、相続人間で分割内容について話し合う手続きです。

 調停でも、分割内容についての合意が得られない場合には、裁判所が審判で分割内容を決定することになります。

2 調停に必要な書類の準備

 遺産分割調停を申し立てるには、必要な書類を準備する必要があります

 まず、遺産分割は相続人全員が当事者になりますので、被相続人の出生から死亡までの戸籍のほか、各相続人それぞれの現在戸籍が必要です。

 第2順位以降の相続人がいる場合、再転相続や代襲相続がある場合には、これに加えて必要な戸籍は増えますので、被相続人の確定に必要な戸籍を準備しましょう。

 戸籍に加えて、戸籍の附票や住民票などの各相続人の住所が分かる書類も必要になります。

 相続財産に関する資料を準備する必要もあります。

 不動産であれば、不動産の登記事項証明書、固定資産の評価証明書を準備する必要があります。

 預貯金については、通帳の写しや残高証明書など、金融機関、支店、口座種別、口座番号、現在残高が分かる資料を提供する必要があります。

 株式や投資信託についても、金融機関から発行された残高証明書を準備する必要があります。

 その他の相続財産に関する資料も準備します。

 相続人・相続財産に関する資料のほかに、遺産分割調停の申立書、相続人関係図、遺産目録、遺産分割に関する考えを記載した事情説明書を作成します。

 これらの各書類については、裁判所のホームページに書式が準備されていますので、これを利用して作成することもできます。

 参考リンク:裁判所・遺産分割調停の申立書

3 遺産分割調停の進め方

 遺産分割調停では、裁判所が主導して、話合いを進めていきます

 一般的には、遺言書の有無、相続人の範囲、遺産の範囲、寄与分・特別受益など法定相続分を修正する主張の有無・内容が確認されたうえで、遺産分割の内容を決めていくことになります。

 それぞれについて相続人の主張に争いがあるのかどうかが確認され、争いがある場合には、裁判所が提案をするなどして、お互いに譲歩ができないかを調整していくことになります。

4 遺産分割審判の進め方

 遺産分割調停が成立しない場合には、自動的に遺産分割審判に移行します

 遺産分割審判では、裁判所が、当事者の主張を聞いたうえで、遺産分割の内容を決めることになります。

 調停では、柔軟な解決の方法がありえるのですが、審判は法律にしたがって分割内容を決めることになるため、相続人全員にとって良い結果にならないおそれがあります。

 たとえば、不動産について、相続人の誰も取得を希望しなかった場合には、相続人の共有になってしまう可能性が高いといえるのですが、遺産分割調停をまとめることができなかった相続人間で不動産を共有して管理していくのは簡単ではないでしょうから、相続人全員にとって好ましい結果とはいえないでしょう。

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